When I watch a person, try to look down.
「恭弥は今年は体育祭出るの?」
「サボる」
「死ね」
そんな会話がなされた二日後。
雲雀の苛々は頂点に達していた。
メールを出しても戻ってこない。電話をしたら頭ごなしに切られた(家に電話するとの母親が五月蝿いから電話はしない)学校で逢って挨拶したら無視された。ついでに、抱き締めたら思い切り膝蹴りされた。
「今年の体育祭、借り物競争あるんだって!」
応接室の窓を開けてぼんやりしていたら聞こえてきた女子生徒の声。
風に乗って声が届いたのだろう。
「ああ、だから並盛に彼氏が居るか書かされたんだね」
「彼氏居る子はあれでしょ、借り物制服だって話だもん」
思わず口許がにやける。
素直に言えばいいのに、と思わず呟いて。
そのまま応接室を出た。目指すクラスは1−A。
「……死ね、あんなアホ雀!」
「、お前ほんっとーにあの風紀ヤローの彼女か……?アホ雀って…」
獄寺が笑いを堪えて言う。
とと、そして山本とツナと獄寺と机を向き合わせてお弁当を開く。
ここ二日三日機嫌が悪い理由をようやく聞き出せた獄寺はとりあえず、笑い飛ばした(そして殴り飛ばされた)
「そんなに体育祭の借り物競争での順位って大事か?」
「山本」
牛乳パックを机に置かされ、睨んでくるに怖いものを感じながら目だけはしっかりとを見ている。
「借り物競争の順位が大事なんじゃないのよ!!問題は!彼氏が自分の為に制服を持って来てくれるっていうのが大事なの!!」
「……」
が笑う。
「まー、俺はちゃんと用意しておくけどな」
「……山本っていい奴だよねぇ」
しみじみとが呟く。
「何であんな奴と付き合ってるんだろ……今からでも取り消せるかな」
(((何を!?体育祭のエントリー!!?それとも交際自体を!!?)))
「……あ、飲み物なくなった。コンビニ行ってくる」
鞄から小銭入れを出して制服のポケットに押し込む。
「何か買ってくるもの、ある?」
「煙草」
「バーカ」
獄寺の言葉にそれだけ返して、は昇降口へ向かって小走りに消えていった。
「目真っ赤だっつの」
「誰の?」
「の」
「何で赤いんだろうね」
「、泣いたからね……」
「さっき何て死ね、あのアホ雀とか言ってたしな」
「ワオ。エキサイティングな台詞だね」
「そういえば今からでも取り消せるかな、ってあれ、交際自体だったらどうしようか」
「ふぅん?どうしてくれようか、本当に」
どかり、とぽっかりと空いた椅子に誰かが座った不穏な気配。
「で?当のは何処へ行ったの?」
「えーと……コンビニに」
ようやく搾り出したツナの言葉に「ふぅん」と小さく呟く。
「あの、雲雀さん」
おずおずとが小さく声をかける。
「、今回は本気で怒ってます…」
「知ってるよ。この僕の鳩尾に蹴りいれたくらいだからね」
ほかの人間がそれをやったら、間違いなく噛み殺すけど。そう呟いて、雲雀はふっと視線を床へ外す。
「制服ぐらいでって思ってるんだろうね、君は」
ぎしり、と椅子が傾ぐ。
「その制服で愛が測れるならいいんじゃないっすか?」
ぶは、と思わず獄寺が飲んでいたお茶を噴出しそうになる。
「制服一枚、洋服一枚、どれでも女の子にとっちゃ、すっごい重要なんじゃないんスかね」
「そういうもの?」
「そういうものっす」
「……あっそ。…が帰ってきたら応接室に来るように伝えてよ」
「入るよ」
何の前触れもなく、いきなり開かれたドアに文句も言わずに雲雀は出迎える。
ソファに座り、テーブルにコンビニの袋を置いて、目だけで雲雀を見る。
「風紀委員長サマー?私、超忙しいんですけどー」
「体育祭、出てあげてもいい」
コンビニの袋からポッキーの箱を出していたの手が止まり、ソファの背に手をついて雲雀を驚きの目で見ている。
「え!?ホントに!?後でやっぱナシとかってなしだよ!?」
手放しで喜ぶの姿を見て、思わず口許が緩む。
「え、でもどうして?」
ソファの隣に座って、ついさっきまでの怒りを忘れてはしゃぐを見て、雲雀が髪の毛を触る。
「のコブの彼氏に感謝するんだね」
「だから、はコブじゃないってば!」
あの男が真面目にあんな台詞を言うから、僕も少しだけ、見てみたくなった。
僕が着ているこの制服一枚で、彼女がどんな風に変わるのか。
FIN
長くなりそうなので、途中で一回終了!
反響よかったら、脱がされる雲雀を書きたい(笑)