ヒバリのしんせつなところ
……最初に言う。
目の前で涼しげに万札を弾いている男ははっきり言って、性格が悪い。否、悪いなら矯正の仕様がある。
多分目の前で弾いてる万札は夏祭りで回収してた活動費何だろう(何に使うんだか)
ぱちん、と音を立てて金庫がしまる。
あえて幾らあったのかは聞かないし、興味もない。
「、もう少し待ってて」
「判ってる。銀行の窓口は3時までだよ」
知ってるよ、と小さく呟いて雲雀は応接室を出て行った。
……あの黒い悪魔を途中で襲えるような勇気ある人間は居ないんだろう。
あんな、いかにもお金入ってます、というような金庫を持って歩いているのが気弱そうなおじさんだったら、絶対途中で奪われてしまう。
応接室の窓から中庭を見ていても、何も楽しくなくて、私はうとうとと疲れた身体をソファへ投げ出した。
ふかふかの、気持ちいいソファが私の身体を包み込む。
少しエアコンの風量が強かったのか、身体に触れる風は冷たくて強い。でも、もう起き上がる気力もなくて、私はそのまま冷たさと戦いながらゆっくりと意識を手放した。
ふ、っと目を醒ました頃、冷たさの代わりに暖かさと、そして少しの違和感。
「ひば、り?」
私の中ではまだ少しの時間しか経ってないはずだった。
なのに、声は頭上から聞こえてきた。
「やっと起きた」
まだぼんやりしている自分の額に手を置いて、今何時かと携帯を取り出してみると、既に時間は19時を過ぎていた。
余裕で5時間。
ありえない……小さく呟いて、私は身体を起こそうとして足元に目をやった。
風紀の腕章のついた学ランがかけられてた。
思わず口許が緩む。
「ん?」
段々はっきりしてきた頭でゆっくりと寝たまま上を見上げたら、そこには文庫本を読んでいる雲雀の顔があった。
「何?」
「……ああ、膝貸してくれてたんだ、御免」
「いいよ、次僕が寝てるときに膝枕してもらうから」
「あぁそーね、うん、そーだね」
そう言いながら多分雲雀はまた膝枕してくれるんだろう。
普段、トンファで噛み殺すって言ってる姿や、実際、殴り飛ばしてる姿を見てても、
こーやって優しく親切にしてくれてるのを見ると、やっぱりときめくんだよなぁ。
FIN
最初は親切なところ=死体を綺麗に失くしてくれる、とか怖いことにしようと思った……んですが……orz
話続かないだろ(笑)
2006.8.16 write