Let a voice of a heart arrive
俺がタークスへ入ったのは。
当座の住処と飯を提供してくれるというからだ。
俺に
神羅に忠誠を誓うだけの理由はない。
俺は
俺らしくこの中で好きなことをさせてもらうだけさ。
安っぽいアパートの中に、スプリングの悪いベッドとテーブルに椅子が一脚あるだけ。
何だっけ……ああ、そうそう。ツォンさん(一応、敬称だけはつけておいてやるけど)が新しいベッドやら家具は支給されるんだが、と苦笑してたっけ。
…放っておいてくれ。
このスプリングの悪さも、何もかも。
慣れればサイコーなもんなんだぜ?
同じくらい…いや、俺よりちょっと前に入ったらしい、ルードって奴とは結構ウマがあうみたいで楽しくやってる。
無口で無愛想、何考えてんだか判りゃしないけど、それでも他人を他人として扱ってくれるだけマシってやつなのかも知れない。
この場所に一つ文句があるとすれば、色気がナイってところか。
ま、命を賭けて〜っていうノリのところに色気を求めちゃいけないんだろーけど。
実際問題、俺がやる仕事っていうのは何でも屋みたいなところがある。
それこそ、盗みから殺しまでなんでも。
「…さあて、お仕事だぞ、っと」
結構使い勝手がいいロッドを握り締めて、
俺はルードと一緒に分厚い扉を飛び出した。
FIN