I loved you.
(記憶の中での君は、今のより少し年上だった。
あの頃はまだ、神羅もそんなに大きな企業ではなく、かといって、中小企業とは呼べないほどの大きさだったから……俺は…貴方を…)
「リーブ君?」
いきなり話しかけられ、目の前で栗色の髪の毛が左右に揺れる。
「あ?すまん、ちょっとぼうっとしとった」
「ねえ、お願いがあるんだけど」
にこり、と目の前で微笑む瑠璃。
「何や?俺に出来る事ならいくらでも」
有難う。
そういって徐に口を開いた瑠璃の言葉はリーブを驚愕させるだけの、威力があった。
「おはようございます」
タークス本部にツォンの姿も、ヴェルドの姿もなかった。
時計が狂っているんだろうか、と腕時計と時計を見比べるがそうではないらしい。
可笑しいな、とレノは笑う。
「何処か行ったのかしら?任務?」
昨日の今日だ。
もしかしたら、宝条のラボにでもいるのかもしれない。
そう直感的に考えて、は自分の机に眼をやった。
そこにはどさり、と午前中だけでは終わらなさそうな書類の山があった。
「ごめんなさいね、ツォン君、ヴェルド君」
にっこりと、リーブの机の上に座って足を組んだ瑠璃が微笑む。
「いきなりの呼び出し、何かと思いましたが」
「ここに盗聴器はないのよね?」
瑠璃が上半身をひねるようにしてリーブを見て言う。
小さく頷いて「あらへん」と云うリーブの言葉に信用をしているわ、と返してツォンとヴェルドの方を見やると瑠璃は小さく息を吐いた。
知られるわけにはいかなかった。
ルーファウスにも、誰にも。
「……力を、貸してほしいの」
の名前があれば大概の事は出来るだろう。
それは真実。
たとえ、この神羅を買収することでさえ。
「魔晄炉を、一瞬でいいわ。停められる?」
その言葉に、ヴェルドよりリーブより、ツォンが反対の言葉をあげた。
「無理です!」
「本当に僅かでいいの。ちょっと故障したかしら、くらいの時間でいいのよ」
「ですが!私はルーファウス様を裏切ることは…」
「判っているわ。だからこそ、お願いしているの」
ほんの一瞬。
魔晄炉を停めるだけなら、生活にも神羅にも支障はないでしょう?
妖艶に微笑む。
形のよい唇が、にこりと微笑む。
どうしたら、いいのだろう。とツォンは頭を抱えた。
「協力してくれないならいいの。……でも、絶対にルーファウスには言わないで。
……じゃないと、私、殺しちゃうかも知れないわ」
To Be Continued