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Don't be afraid~怖がらないで~
何でこんなことになっているんだろう。
必死に零は頭を働かせた。
楽しそうな目で視姦するように見ているのは雲雀恭弥。言わずと知れた風紀委員長。
「ね…雲雀?」
「何?」
「何、その白衣」
それだけじゃない。
聴診器までついてる。
「もしかしなくても…コスプレ?」
「まさか。演劇部が荷物の置き場所がないからどうしてもって頭を下げたから置かせた中にあったから着てるだけ」
応接室のソファに座って机を挟んだ向こう側でにこやかに言うと。
授業中にしかかけてない、細い黒縁の眼鏡をつけた。
(反則だ…!)
「似合う?」
「……う」
素直に、うん。って言えばいいのだろう。
でも。
それは何となく怖くて、口に出せない二文字だった。
「こんなお医者様なら通ってもいい……かなぁ?」
そんな零の一言に雲雀はにっこりと笑って。
零の隣に座った。
「零は医者嫌いだっけ?」
「っていうか、病院の匂いとか、薬の匂いとか、そーいうのが嫌い」
言いつつも、内心では注射が嫌いという最大の理由を言うべきかどうか悩んでいた。
今まで友人にも言った事がない、この秘密。
注射のある日は一番最後に回ってどうにか泣き顔を見られないようにしてきた。
「零?」
「へ!?あ、何?」
「聞いてなかったでしょ」
少し拗ねた口調で言うと雲雀は零の腰に手を回して引き寄せた。
「……嫌いになるのを好きになるのは無理だけど、おまじないしてあげるから……。
これからは注射…怖がらないで」
何か反論しようとした零の唇を自分のそれで塞いで、
ゆっくりとした動作で唇を離して妖艶に微笑んだ。
FIN
(Ti voglio bene様へ捧げました!)