Study society
の目の前には不機嫌な雲雀が居る。
場所は応接室。
真夏だというのにエアコンはばっちりで、滅茶苦茶涼しい。その前に何故、並盛中学最強で最悪の不良且つ風紀委員長が眼鏡をかけて参考書を開いているかといえば。
話は前日に遡る。
『きょっおっやっ』
『…何?が僕に何かお願いするなんて珍しいね』
『実はねー、どぉしてもなお願いがあるのー』
応接室の執務机の前に座って書類を片付けていた雲雀がにっこりと微笑む。
『に勉強教えてあげてほしいの』
『冗談じゃないよ。何で僕が自分の彼女じゃない人の為に時間を費やさなくちゃいけないんだ』
が最後の「の」を言った瞬間に雲雀は即答していた。
『そういわないでよ。本当は私が教える予定だったんだけど、私、どうしても明日部活でないといけないのよ』
ね、お願い。と手を合わせる。
『絶対ヤダ』
『ねぇ、恭弥……どうしてもダメ?』
『ダメ』
そういって雲雀は机に向かう。
の後ろではらはらした表情でがと雲雀のやり取りを見ていた。
もういいよ、といおうとした瞬間。
『サッカー部の佐藤君に頼もうかなぁ。佐藤君優しいからきっといいよ、って言ってくれるかも』
ぴく、と雲雀の身体が僅かに動く。
『バスケ部の原君でもいいかもねー』
『』
『じゃなきゃ、柳君でもいいかなぁ。柳君ならデート一回で引き受けてくれそうだしぃ』
『怒るよ、』
低い声に何故かがびくん、と身体を竦めた。
『だって恭弥、ダメって言うんだもん』
『教えればいいんだろ』
『だから好きよ、恭弥』
(…は強い)
本当にあの時はそう思った。
「…で、この公式に当てはめて考えれば、Xが3なのはわかるね?」
「……判ります」
元々苦手な数学を細かく噛み砕いて教えてくれるのは非常に有難い。
しかも教師よりも判りやすい。
「じゃあ、Yは?」
「えーと……4?」
「やれば出来るじゃん。何で本番で出来ないの?」
「応用が苦手で…」
ぱたん、と参考書を閉じる。
それを見計らったかのように応接室のドアがノックされた。
が、そこに居たのは草壁だった。
「委員長、こちら、さんからの差し入れです」
「有難う。置いておいて」
ソファの前のテーブルに置かれたコンビニの袋。
一礼して草壁は応接室を出て行った。
「最近さあ、と群れてるよね」
コンビニの袋からミネラルウォーターを二本取り出して、雲雀は一本をへ投げる。
「群れてるっていうか…!」
「と群れていいのは僕だけなんだけど」
「嫌われますよ、その考え」
「…いい度胸だね」
「ならそういいますーう!」
んべー、と舌を出す。
「昨日の雲雀さん、必死でしたね」
ミネラルウォーターがまだ大分残っているペットボトルを手で弄びながら、はぽつりと呟く。
「必死にもなるよ。……彼女は僕のものだからね」
「ハイハイ。で、次この問題なんだけど」
ワーク一冊終わった頃には既に夕陽は傾きかけていて。
「終わった……終わったよ、雲雀さん!」
「当たり前だろ、僕が教えてたんだから」
眼鏡を外して座り心地よさそうな椅子に座ると、大きく溜息をついて身体を沈めた。
「、終わった?」
ノックもせずに開かれたのは応接室のドア。
覗かせたのは唯一雲雀に勝てる絶対無二の存在。
「雲雀さんが教えてくれたから」
「よかった。何か変なことされてない?大丈夫?」
「……何その僕の扱い。いくら僕でもショックなんだけど」
椅子に座ったまま、ゆっくりと息を吐く。
「あ、そうだ。、さっき山本に逢ったよ。昇降口で待ってるって」
「え!?え!?」
「雲雀が居るから迎えにこれないんだよ。行ってあげな」
にっとが笑う。
昇降口には確かに山本が居た。
「あのヒバリに勉強習ってたんだって?」
「うん」
「まー、野球なら教えてやれるんだけどな…俺も」
「一緒にやろうか」
の言葉に「おう」と小さく呟いた。
FIN
雲雀さんに勉強教えてもらえるならいくらでも落第しても構わない…!!
ついでに、山本には野球教えてもらっても怖そうだ…!!
この後雲雀がどうしたのかはこちらからご覧下さい(笑)
最近純愛ばかりでエロが足りない……!
2006.8.15 up